日本人の起業家である長谷川潤氏がCEO(代表)を務めるタイ発のスタートアップ「Omise」(オミセ)

 

その「Omise」が手がけるFintech決済サービスは、2017年にイーサリアムベースで「OMG」というトークン(仮想通貨)を発行し『Omise GO』というプロジェクトとしてICOを行いました。

 

その結果、2500万ドル(日本円にして約25億円)の調達に成功しました。本記事では、未だ日本のメディアでは詳しい解説がなされていない「Omise」と、そのICOプロジェクト『Omise GO』について徹底解剖します。

 

そもそも「Omise」とは?

BtoBの電子決済ソリューション

 

Omiseとは、一言で言うなら、”東南アジアを中心にシェアを広げている電子決済サービス”のことです。

 

具体的には、電子決済を導入したい企業に対し決済ソリューションを提供するBtoB(会社→会社)ビジネスを行なっています。

 

本拠地をタイを中心に、莫大なシェアを誇る

 

2013年にタイでサービスを開始したOmiseは瞬く間にタイで爆発的なシェアを獲得しました。非金融機関のペイメントとしてはタイでトップを誇ります。

 

起業当初はEコマース事業を手がけていたそうですが(名前がOmiseの理由はここにあります)、その事業をやる過程でタイに良い決済サービスがないことに気づき、自社で決済サービスの開発に乗り出したのが始まりと言われています。

 

現在ではタイ・マクドナルドと事業提携を結ぶほどにシェアを拡大し、シンガポールや日本でも決済事業を展開しています。

 

Omiseアプリはこちら

 

『Omise GO(オミセゴー)』とは?

Omise GOは、ブロックチェーン技術を用いた決済プラットホーム

 

『Omise GO』とは、Omiseが決済サービスをブロックチェーン上に移行したサービスです。ICOで発行されたトークンは「OMG(Omise GO)」と呼ばれています。

 

『Omise GO』が普及すれば、あらゆる取引を分散型のP2Pネットワークの中で構築することが可能になります。利用者はOmise GOのデジタルウォレットを保有し、Omise の提携するネットワーク内での支払いや送金を低コストかつ迅速に行えるようになるのです。

 

さて、ここまでOmiseのミッションと大雑把なサービス概要を見ていきました。そこで以下からは、OmiseGoの具体的な仕組みついて学んでいきます。ブロックチェーンや仮想通貨の応用事例に関心がある方々必読の内容です。

 

OmiseGOが解決する問題とは?

 

OmiseGoが解決する問題は主に以下の2つです。

①ブロックチェーンを用いて、決済プラットホームを非中央集権化する

 

本記事を読んでいる方にとって、ブロックチェーン技術の基礎知識と、それが生み出すメリットはご理解いただけていると思います。

 

ですが、ここでは改めて、簡潔にOmiseの決済ソリューションがブロックチェーン、そしてイーサリアムを利用することでどのようなメリットを生み出すのか、について説明していきます。

 

以下の3つの論点はOmiseGOだからというよりも、ブロックチェーンだからこそ得られるメリットとも言い換えられます。

 

ですがこの変化は現在のOmiseのペイメントサービスとの比較をする際に重要なポイントです。

 

1- セキュリティ

ブロックチェーンでは、インターネットが持つ脆弱性をカバーした強固なデータベースを作り上げることができます。ハッキングリスクを最小限に抑えることで、より企業・ユーザーにとって安全なプラットホームを構築可能です。

 

OmiseGOのネットワークも、Omiseが中央集権的にセキュリティシステムを構築するよりも、はるかに強固になります。

 

2- プライバシー

インターネット上取引をするユーザーは、そのプラットホームを提供する主体に個人情報を提供しなければなりませんでした。そのため、大きな企業は大量の個人情報データを保有し、それらをユーザーの見ていない場所で売買することで利益をえることができました。

 

私たちの目に見えない場所で、私たちのプライバシーに関する情報が売り買いされていることは、大きなリスクです。これらの企業の行いは、私たちのプライバシーの権利を犯しているとも言えます。

 

ブロックチェーンであれば、ユーザーは大きな主体に個人情報を渡す必要はありません。その情報はブロックチェーン上にのみ保存され、企業はデータを所持できません。さらに強固なセキュリティで守られています。

 

OmiseGOにおいても同じです。OmiseGOは、ネットワーク内で生じる取引を全てブロックチェーン上で完結させるので、必要以上に顧客のデータを持つことはありません。

 

3- 信用

インターネットであれば、ユーザーはサービスを利用するために個人情報を第3者に明け渡すこと必要がありました。ここにはその”第3者が自分の情報を悪用しない”という信用が必要でした。

 

この信用は大きなコストとなって、市場原理を阻害しています。例えば、新しいサービス提供者は信用を持っていないために顧客に信用されづらく、登録者は伸び悩みます。ということはつまり、始まったばかりの小さなサービスは自然と不利な立場を強いられているということなのです。

 

しかしブロックチェーン上であれば、その信用は代わりにブロックチェーンが担保してくれます。これにより、例えばどんな小さな主体でも決済システムを独自に作り出し、顧客に容易に利用し始めてもらえるのです。

 

②銀行口座を持たぬ人々にデジタルウォレットを配布し、新しい資産管理・決済の手段を与える

 

東南アジアの70%、そして世界の20億人に及ぶ銀行口座を持たない人々は、そのコストを突破できないがために非常な不便を強いられています。

 

一方でそのような人達でも、スマートフォンを持ち、インターネットに繋がっている場合が多いです。

 

OmiseGOは、そのような人達にデジタルウォレットを配布し、より低コストで資産管理や商取引を行えるようにします。

 

③世界中の決済ネットワークを一つに繋げる

 

現在の世の中では、ある一つのネットワークの中でしか価値交換が行えない閉鎖的な決済プラットホームが多々あります。

 

例えばアメリカの田舎町の商店でユーロ支払いはできませんし、ビットコインなどの仮想通貨支払いなんてさらに可能性は低いでしょう。

 

OmiseGOは、通貨や資産の種類、国や法律の管轄にとらわれずに、ある一つのネットワークを、他のネットワークと仲介することで、低コストかつ迅速な取引が行えるプラットホームを構築しています。

 

OmiseGOはどのような方法で始まったのか?

 

Omiseは、OmiseGOプロジェクトを始めるために、ICOを計画しました。ICOとは、Initial Coin Offeringといって、仮想通貨を発行することで資金を調達する仕組みのことです。

 

一般的なIPOは、株式を売り資金を調達することを指しますが、ICOでは、そのプロダクトの中でユーザーが利用できるトークンを売りに出すことで資金を調達します。

 

このICOで印象的だったのは、Omiseが調達資金に限度額を設けたことです。一般的にはICOでは資金を集められるだけ集めて、その全てを開発資金に注ぎ込みますが、Omiseは必要以上に資金を集めないという選択をしました。

 

この行動は公正さと謙虚さを持ち合わせており、OmiseGOは高い信頼を得ています。

 

その結果として、ICOは日本円にして約25億円に及ぶ2500万ドルを調達することに成功しました。仮想通貨であるOMGトークンは、発行されて以来ずっと時価総額世界第20位圏内を保ち続けています。

 

OmiseGoの仕組み

 

OmiseGOはEthereum(イーサリアム)ベースで個人間の価値交換が可能な分散型プラットホームを提供しています。

 

OmiseGOにおける全てのシステムはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で構築された独自のOmiseGOブロックチェーンの上に成り立っています。

 

OmiseGoブロックチェーンは主に以下4つの要素を持ちます。ここからは少し専門的な内容になるので、興味のある方にのみオススメします。

 

①分散型取引所(DEX)

 

分散型取引所、通称DEXとはDecentralized Exchangeの略称です。DEXは、一般のCEX(中央集権型取引所)とは異なり、中央の管理者が不在です。これにより、トークンをリアルタイムかつ低コストで交換可能になります。

 

②OmiseGoウォレット

 

OmiseGOブロックチェーン上で動くデジタルウォレットのことです。通称e-walletと呼ばれます。このウォレットは、資産保有や交換、商取引にも使用可能です。またOmiseGOのDEXと結びつくことで、保有している通貨を瞬時に低コストで、他のどんな通貨とも交換が可能です。

③ホワイトラベルウォレットSDK

 

SDKウォレットとは、ソフトウェア開発キットのことです。ここでいうホワイトラベルSDKとは、OmiseGOネットワーク上で開発者が自らの顧客に対しウォレットを提供するための開発キットのことを指します。

 

このツールを使うことにより、初めからウォレットを自作するよりも驚くほど低コストでの制作が可能になります。

 

このような開発者支援ツールの存在は、より多くの開発者がその他多くのプラットホームではなく、OmiseGOネットワークを選択するメリットになります。

 

④OMGトークン

 

OmiseGOブロックチェーンはPoS(プルーフオブステーク)のシステムを導入しています。PoSとは、より多くのトークンを所有しているノード(ネットワークの参加者)に対し、より多くの配当(トークン)を付与するというコンセンサスアルゴリズムです。

 

具体的には、一定以上のOmiseGOトークンを所有しているノードに対し、ブロックチェーンのブロック生成の承認権利が与えられます。

 

加えて、それらの一定以上のトークン所有者には、所有しているトークンの量に比例して、OmiseGOネットワーク上で発生するトランザクション手数料から配当(トークン)が付与されるのです。

 

PoSでは、仮に悪意のあるノードがいたとしてもそのノードが経済合理性のもとに動く限り、攻撃を行うメリットがなくなるような設計が為されています。

 

また、ブロックの生成者になるためにはある一定以上のトークンを保有(ステーク)しなければいけません。

 

ということは、もし仮に攻撃が成功してトークンを得たとしても、ハッキングされたネットワークとトークンの価値は地の底に落ちるので、一定額所有したトークンと、ハッキングで獲得したトークンの価値は全て失われてしまうというリスクがあるのです。

 

以上の巧みなインセンティブ設計により得られるメリットは、ハッキングリスクが低いというセキュリティの高さ・参加者がコミットメントを高めれば高めるほど利益を得るという発展性の2つです。

 

さらにPoSはビットコインや現Ethereum(イーサリアム)のコンセンサスアルゴリズムであるPoWよりも、マイニングにかかる電力の消費量がはるかに低いことも特徴の一つです。

 

Ethereum(イーサリアム)との関係

 

Ethereum(イーサリアム)との出会い

 

Omiseがブロックチェーンに手を伸ばし始めたのは、シェアが急拡大していった2015年頃のことです。

 

当時のOmiseは、決済サービスを様々な機関に導入してもらおうと活動する中で、タイの金融機関と政治的なやり取りにうんざりしていたそうです。

 

そこでブロックチェーンを用いた解決策を考え始め、イーサリアム財団や、イーサリアム創設者のヴィタリク・ブテリンとも関係を持ち始めました。

 

ブテリンやその他イーサリアム財団のメンバーらが『Omise GO』のアドバイザーとなったことなども、ICO成功の要因であったと考えられています。

スケーラビリティ問題を解決する最新技術「Plasma(プラズマ)」

 

技術的なことに関して詳しく言及することはしませんが、今後のOmise GOの発展には、Ethereum(イーサリアム)が現在開発を進めているPlasma(プラズマ)という技術の実用化が欠かせない要素だと言われています。

 

プラズマ(Plasma)はEthereum(イーサリアム)ネットワークのトランザクション処理を大幅に効率化し、よりスケーラブルなネットワークを実現するための技術です。

 

Ethereum(イーサリアム)開発者は世界中で様々な組織やプロジェクトをもち、各々が連携を取りつつも独自に開発に専念しています。

 

Plasma(プラズマ)も同じように各地で開発が進められているのですが、最もPlasmaの開発が進んでいるのがOmiseGoの開発チームと言われているのです。

 

OmiseGOはEthereum(イーサリアム)ネットワークの発展にも欠かせない存在といえるでしょう。OmiseGoの今後の発展をキャッチアップしたい方は、Plasma(プラズマ)という技術も合わせて学んでいくことをオススメします。

『Omise GO』の将来性

東南アジアという成長市場

 

先ほどより何度か述べている通り、東南アジアの人口の70%は自身の銀行口座を保有していません。

 

OmiseGOは、スマホさえあれば、銀行口座を持つことなく財産の保有、そして決済や送金を可能にします。OmiseGOは、その需要を大きなチャンスと捉えているのです。

 

こちらの図をご覧ください。

DIGITAL IN SOUTH EAST ASIA より引用

 

これは昨年の2017年の東南アジアのデジタル化に関するデータです。

 

見てお分りいただけるように、都市人口は総人口に対し約50%、インターネット普及率は50%、ソーシャルメディアの普及は47%、スマートフォン加入者は133%、アクティブモバイルソーシャルソーシャルユーザーは42%です。

 

このデータから読み取っていただきたいのは、東南アジアにおける、今後のデジタル化の”伸び代”です。

 

これまで全く使われてこなかったインターネットやモバイルフォンが、ここ数年で劇的に活用され、そして未だなお、それらを利用していない人達が半分もいるのです。

 

これからの東南アジアは経済成長に伴い、さらにデジタルインフラが整い、未だその波に乗れていない人々がその恩恵を受け始めます。

 

さらに経済成長とともに人口も爆発しているので、今より一層マーケットは拡大していくのです。

 

東南アジアはこれからどんどん成長していきます。Omiseがその経済成長の波に乗り、東南アジア市場を獲得することができれば、OmiseGOは大きな成功をおさめるかもしれません。

 

OmiseGOネットワークの拡大

 

パートナーシップ

 

さらにICOプロジェクトを通し、OMGは世界で20位圏内に入る時価総額を持つトークンになりました。

 

これにより、Omiseは世界中の投資家や企業とのコネクションを生み出し、Omiseのネットワーク拡大の弾みをつけています。

 

中央集権型取引所の設立

 

OmiseGoのロードマップの一つに、DEX(分散型取引所)とはまた別に、中央集権型の取引所(CEX)の設立があります。

 

なぜOmiseはDEXだけでなく、CEXの設立をも構想しているのでしょうか?

 

理由は、Omiseネットワークに参加する人々を増加させれば、PoSで展開するOmiseGOブロックチェーンないしそのネットワークの価値を相乗効果的に上げていくことができるためです。

 

DEXに関する知識があまり普及していない現段階では、一般の仮想通貨保持者はなかなかDEXを使い始めてくれません。

 

そこで今流行っているCEXを設立することで、DEX利用者を増加させる一つの中継地点を作ろうとしているのです。

 

ブロックチェーン特化型コワーキングスペース『Neutrino(ニュートリノ)』

 

ここからは『Omise GO』というよりも、Omise全体のニュースになります。

 

先日Omiseは国内最大級のVCであるグローバルブレインと提携し、東南アジアを中心に、ブロックチェーンに特化したコワーキングスペース『Neutrino』を世界展開していくこと発表しました。

第一号はTokyo 渋谷

 

そしてその第一号は日本、東京の渋谷に6月頃からオープンされる予定です。

 

OmiseCEOの長谷川潤氏は、2017年12月に開催されたGlobal Brain Alliance Forum 2017に登壇し、”日本のブロックチェーン分野では技術者や情報が不足している”と発言しました。

 

Neutrinoでは、ブロックチェーンスタートアップの集積、技術者の育成などの目的を掲げ運営展開を行っていくとのことです。今後はバンコクやシンガポールにも解説される予定です。

 

OmiseGOの価格・チャート解説

 

OmiseGO OmiseGO (OMG)
$ 8.35 USD (3.63%) 0.00123358 BTC (0.86%) 0.01701700 ETH (-0.95%)

時価総額
$ 852,065,511 USD 125,878 BTC 1,736,458 ETH

ボリューム(24時間)
$ 30,808,900 USD 4,551 BTC 62,787 ETH

循環供給
OMG 102,042,552
総供給
140,245,398 OMG                         CoinMarketcap

 

CoinMarketcapより引用

 

2017年の上場から順調に価格は上昇していき、現在では1OMG=900円台をキープしています。時価総額は20位です。

 

OmiseGOが購入できる取引所・購入方法

 

今のところ、OmiseGOを扱っている日本の取引所は存在しません。なので、海外の取引所から購入する必要があります。

 

OmiseGOの保管方法・公式Wallet

 

OmiseGOは海外取引所で購入したのち、マイイーサウォレットや、Gincoなどのセキュリティの高いソフトウェアウォレットに入れることをおすすめします。

 

OmiseGoは世界中の決済プラットホームを1つにする

 

『Omise GO』はOmiseが運営するブロックチェーン技術を活用した新しい価値交換のためのプラットホームであり、OmiseGOネットワーク内では様々な相手と、分け隔てなく安価で迅速な商取引が行えます。

 

東南アジアの成長・イーサリアムの技術革新など、様々な影響を受けながら急速に成長しているこのスタートアップは、今後もきっと成長を続けていくことでしょう。

 

また現在、ブロックチェーンに関連するスタートアップで世界規模の挑戦をしている「日本人の起業家」は、Omiseの長谷川潤氏しかいません。

 

規制などの要因で若干遅れ気味の日本の仮想通貨・ブロックチェーン業界の模範となるOmiseGOと、その代表の長谷川さんの挑戦を、筆者も応援し続けたいと考えています。

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