日本を代表するIT企業である楽天は、創業初期はECサイト運営がメインでしたが、現在は、オンライン株式販売や、クレジットカード事業などの金融事業を幅広く展開する金融系企業としての側面も強くなっています。

 

数々の大手企業がブロックチェーン業界への参入を決断する中、金融サービスを幅広く展開する楽天は、どのようにしてブロックチェーンを導入していくのでしょうか?

 

この記事では、楽天ポイントにブロックチェーンを導入するという「楽天コイン構想」についてご紹介します。

 

楽天は、楽天コイン以外にも、複数の領域でブロックチェーンの活用を模索していますので、楽天コイン以外のブロックチェーン活用の試みについてもご紹介します。

 

楽天ポイントとブロックチェーンを掛け合わせた「楽天コイン」構想

 

楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、2018年2月27日、スペイン・バルセロナで開催中のモバイル・ワールド・コングレスで講演し、「楽天コイン」という新たな事業構想を明言しました。

 

この「楽天コイン」構想は、ブロックチェーン技術の活用によって、楽天スーパーポイントを仮想通貨とし、楽天が持つ国内外のサービスでIDやポイントの共通化を図るというものです。

 

楽天は既に国内で、IDとポイントを活用して自社サービスを継続的に利用してもらう、「楽天経済圏」という独自のエコシステムを構築していますが、ポイントの仮想通貨化によって、この経済圏を海外に展開することが「楽天コイン」の狙いだとみられます。

 

楽天がこういった構想を描くに至った背景には、かねてより進めている海外事業での不調があると考えられます。

 

国内でこそ高い知名度を誇る楽天ですが、海外事業に関しては、まだ明確な成功事例がありません。

 

実際、主力となるEC事業では、進出した多くの国々で撤退が続き、欧州でも現在はフランスとドイツの事業が残るのみです。

 

また、楽天は海外での成長を目指して企業買収を重ねていますが、それらのサービスは内容や提供地域に一貫性がありませんでした。

 

こうした多様な事業を束ねて事業間のシナジーを生み、海外でも日本と同じような楽天経済圏を構築するために、楽天コインによるサービス間のIDとポイントの共通化を図ろうとしているようです。

 

楽天コインは未だ構想段階であり、具体的な提供時期は明らかにされていませんが、海外事業を成功に導く可能性を秘めた施策であることは確かでしょう。

 

実際に楽天ポイントを使っているユーザーは相当数いるので、「楽天コイン構想」が実用化されたら、仮想通貨を介した経済圏が成立すると思われます。

 

楽天証券のブロックチェーンを用いた本人認証サービス

 

楽天証券は2017年10月を目途に、ブロックチェーン技術など最先端のFintech技術を活用したID・パスワードを不要とする本人認証サービスを展開すると発表しました。

 

このサービスは、セコムトラストシステムズ株式会社が、ソラミツ株式会社のブロックチェーンおよび『Hyperledger いろは』の技術を前提とした、本人認証プラットフォームを開発するものです。

 

従来は、利用者と金融機関の2者間のみで認証キーによる本人認証を行っていましたが、新しい本認証サービスではID・パスワードを不要とすることで、認証キーを外部から不正取得されるリスクの軽減を目指しています。

 

仮想通貨とは違う「認証」という面でのブロックチェーンの応用も進めているようです。

 

楽天証券のブロックチェーンを活用した、トレードシステム

 

楽天は2017年12月より、環境経済およびグローバルエンジニアリングと連携し、「J-クレジット」の取引システム「Rakuten Energy Trading System(REts)」の提供を開始しました。

 

「J-クレジット」とは、省エネ導入や森林管理などによる温室効果ガスの排出削減量を国が排出権として認定したもので、この購入・売却をブロックチェーン技術によって可能にする取引システムがREtsです。

 

REtsは、システム上で取引可能な「J-クレジット」をデジタルアセットとしてプライベートブロックチェーン上に発行し、取引に応じて所有権の移動を記録します。

 

これは、不動産の権利をトークン化して売買できるようなシステムに類似しています。

 

J-クレジットの購入を希望する顧客は、企業情報を登録することで「閲覧会員」として商品の閲覧ができ、楽天の審査を受けることで「購入会員」として商品の閲覧および購入ができます。(登録料は、閲覧会員が無料、購入会員が税抜15万円。)

 

J-クレジットの売却を希望する顧客は、REts上の問い合わせページから連絡し、個別契約を締結して売却することができます。

 

利用者は、従来の入札形式や相対取引よりも容易に「J-クレジット」の価格と取引数量を把握することができるほか、購入したJ-クレジットのオフセット(代替無効化)手続きのサポートや、売却するためのJ-クレジットの創出サポートなど、付帯サービスの利用も可能です。

 

このように、楽天は創出から活用まで総合的にサポートすることで「J-クレジット」取引の活性化を見込んでいます。

 

現在REtsでは、J-クレジットに加え、「グリーン電力証書」や「旧RPS法」、ネガワット取引を扱っており、今後も取扱商品の拡充が検討されています。

 

ブロックチェーン企業としての楽天に期待

 

IT領域で、金融、ECなど幅広く事業を展開する楽天は、日本を代表するIT企業として、ブロックチェーン業界でも存在感を出していくことになると思われます。

 

楽天のブロックチェーン領域での活躍に期待です。

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